リピトールとはどんな薬?

血液中のコレステロールを減らすお薬です。

脂質異常や高コレステロール血症の治療薬として今日最も広く用いられている薬の一つです。

血中のコレステロール値が異常に高くなると

  • 高血圧症
  • 動脈硬化症
  • 糖尿病
  • 狭心症、心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 動静脈血栓症
  • 動静脈瘤

などへの罹患リスクが高まります。

しかしながら臨床的には脂質異常や高コレステロール血症は状態病名であり、この薬が投与される主な目的は虚血性疾患(脳梗塞、心筋梗塞、狭心症)などの既往がある人に対し、将来的な再発を防止する目的であることが多いとされています。

日本でもメジャーな医療用医薬品で、上記病名のいずれかがあれば健康保険の適用となるお薬です。

善玉コレステロールと悪玉コレステロールについて

コレステロールには善玉と悪玉が存在するのはすでにご存知の事と思います。

ではこの両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

この両者の決定的な違いは「常温で個体であるかどうか」になります。

悪玉コレステロールというのは常温で個体であり、善玉コレステロールは常温だと液体になります。

たったこれだけの違い?と思われる人も多いと思いますが、実はこれがとても重要な意味を持つのです。

人間の深部体温はだいたい37度〜38度だと言われています。

これは夏場の常温(平均気温)よりも5度から10度ほど高い程度になります。

この状態ではラードやバターのような動物性の油脂の多くは固形か半固形(ドロドロの状態)になります。

血液中に含まれるコレステロールが固形や半固形状態の場合、血栓になりやすいのです。

血栓になった悪玉コレステロールは血管壁にへばりつき、血小板や他のコレステロールと結びついてどんどん大きくなっていき血管内部の血液の通りを悪くします。

この状態が高血圧症です。

また、血栓が癒着した血管壁はもろくなり、動脈硬化症になります。

さらに血栓が大きくなると完全に近い状態で血管を塞いでしまいます。

これが冠動脈で起こると狭心症となり、血流不足で心筋細胞が壊死してしまう状態が心筋梗塞になります。

心筋梗塞と同じように完全に動脈を塞いでしまような血栓が脳の血管にできると脳梗塞を発症します。

また体のどこかの動静脈で血栓が生じて血流が悪くなり、しびれや冷感、壊疽などを起こす状態が動静脈血栓症であり、血栓が育ちすぎて瘤のようになった状態を動静脈瘤と呼びます。

つまり、脂質異常や高コレステロール血症とはこうした深刻な血管性疾患の前段階であり、主だった自覚症状がないため確実に病状が進行していきやすいので注意が必要となるのです。

では、常温で液体のコレステロールはどうして「善玉」と呼ばれるのでしょう?

これは石鹸や洗剤と同じ原理で、「油で油を溶かす」作用から来ています。

つまり、血液中で凝固しない融点の低いコレステロールは悪玉コレステロールと結合するとそれを分解し代謝してくれるのです。

体内で血栓とはならず、悪玉コレステロールを溶かし出してくれるので「善玉」という名称で呼ばれています。

悪玉コレステロールは必要悪?

このように悪玉コレステロールは名前からもついつい健康被害をもたらす悪者に思われがちですが、実はそうではありません。

健康維持にとって非常に重要な役割を持っているのです。

近年の研究では悪玉と呼ばれている動物性のコレステロールが不足すると脳に障害を起こしやすく認知症へのリスクが高まる事が解明されました。

また、人の細胞を構成する物質としても必要不可欠であり、さらに消化吸収に欠かせない胆汁は肝臓内でコレステロールを原料として作られています。

この様に悪玉扱いされているコレステロールですが、実は健康維持にとっても重要で欠かせない物質なのです。

問題は過剰に摂取した分のコレステロールです。

健康意識が高まるあまり悪玉コレステロールをまるで邪悪な存在のように扱って極端に制限するのはかえって重大な健康被害をもたらすので注意してください。

リピトールの作用機序(効き方)

リピトールはスタチン系のコレステロール低下薬です。

スタチン系とは肝臓に作用しコレステロールの生成を促す酵素(HMG-CoA酵素)の働きを阻害して、血中のコレステロール値を低下させるという働きがあります。

酵素には一意の働きしかなく、コレステロールを合成する酵素の働きを阻害すれば血液中のコレステロール値は良好に低下していきます。

したがって効果が高く高コレステロール血症や脂質異常の治療薬として幅広く用いられているのです。

国内の治験では総コレステロール値を30%、悪玉コレステロールと言われているLDLを41%低下させるという値をマークしています。

*ここでいう「一意の働き」とはある特定の物質にのみ作用するという意味です。

酵素は一意の作用しか持たない事で誤動作を防ぐという目的があると考えられています。

それだけ体内で重要な働きをしているのが酵素ということができるのかもしれません。

副作用について

特定の酵素に作用してその働きを阻害するタイプの薬であることからも副作用はそれほど強くないとされています。

しかしながら医薬品である以上、副作用はついて回りますので、公開されているものについて一覧化してみましょう。

  • 過敏症状(アレルギー性反応)、蕁麻疹、発疹など
  • 下痢、腹痛、嘔吐、便秘などの消化器症状
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • しびれ
  • 浮腫(むくみ)
  • 動悸
  • 血小板減少
  • 肝機能障害
  • 腎機能障害
  • ほてり
  • 倦怠感
  • 味覚異常
  • 糖尿病、高血糖
  • 横紋筋融解症
  • ミオパチー
  • 筋肉痛、筋肉異常
  • 倦怠感
  • 貧血
  • 白血球数減少
  • かすみ目
  • 不眠
  • めまい
  • 肺炎
  • 膵炎

など、種類は多いですが発症頻度はわずかです。

しかしながら人体の細胞を構成する重要な成分であるコレステロールを下げる薬ですので、コレステロール値を下げすぎると筋肉の異常である「横紋筋融解症」に関しては多少なり注意が必要とされています。

リピトールの禁忌について

リピトールは以下の症状または身体的な状態にある人、あるいは下記の薬剤による投薬治療を受けている人には処方できないことになっています。

  • リピトールに重篤なアレルギー反応を示す人
  • 重い肝障害の既往がある人
  • アルコール依存症の人
  • 腎機能検査で異常が見つかった人
  • 糖尿病の患者
  • 甲状腺機能低下症の患者
  • 遺伝性の筋疾患または薬剤性の筋障害を持つ人
  • 妊婦、あるいは妊娠している可能性のある人
  • 授乳中の女性
  • 胆道閉塞があり、ピタバスタチンカルシウム製剤及びロスバスタチンカルシウム製剤を使用している人
  • シクロスポリン製剤の投薬を受けている人

服用方法について

1日1回夕食後に服用します。

1日1回で済むのもリピトールが人気薬である理由の一つです。

また、禁忌薬品の種類も非常に限定されていて、高血圧症や糖尿病の人でも服用可能であるという点で優れた医薬品であるといえるでしょう。

誤用についての注意喚起

一部のネットニュースなどではリピトールがコレステロール値を良好に下げる作用がある事からダイエットサポート薬として紹介しているところもありますが、これは間違いです。

ダイエットの際にリピトールを使用しても吸収されたコレステロールを代謝するだけではダイエット効果を得る事はできません。

これはリピトールにはすでに皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられている脂肪を代謝する作用がないからです。

これまでにも説明している通り、コレステロールは生きていく上で欠かせない大切な物質ですので、特に脂質異常を指摘されていない人は誤った認識で服用しないように注意してください。